10Feb
脳のさまざまな働きは、脳の中にある神経回路によって支えられています。
神経回路は、ニューロンと呼ばれる細胞同士が電気信号をやり取りすることで形づくられています。
あるニューロンが神経伝達物質と呼ばれるごく小さな物質を放出すると、別のニューロンがそれを受け取ります。この時、受け取った側のニューロンに電気信号が生じ、さらにそのニューロンから別のニューロンへと神経伝達物質が放出されます。
このような連鎖的なやり取りによって神経回路が形成され、私たちは何かを感じたり、考えたり、気分をもったり、行動を起こしたりすることができます。
神経伝達物質には、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミン、アセチルコリン、ヒスタミンなどがあります。
抗うつ薬のはたらき
うつの症状は、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が関わる神経回路が、うまくはたらかなくなることで起こると考えられています。
抗うつ薬には、これらの神経伝達物質のはたらきを高める作用があり、その結果としてうつの症状を改善します。
神経伝達物質のやり取りでは、神経伝達物質が一度放出された後、再び元のニューロンなどに回収される「再取り込み」という過程が生じることがあります。この仕組みによって、神経伝達物質の量が過剰にならないよう調整されています。
多くの抗うつ薬は、特定の神経伝達物質の再取り込みを「阻害」することで、放出された神経伝達物質が回収されにくくなり、結果としてその量や作用を高めています。
抗うつ薬には、主にSSRI、SNRI、NaSSA、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬という種類がありますが、それぞれの作用はこのようになっています。
※ 薬の名前は商品名ではなく、一般名(ジェネリック名)で表記しています。
• SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
【パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン、フルボキサミン】
セロトニンの再取り込みを阻害することで、セロトニンの量やはたらきを高めます。
• SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
【デュロキセチン、ベンラファキシン、ミルナシプラン】
セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで、これらの量やはたらきを高めます。
• NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
【ミルタザピン】
再取り込みの阻害ではありませんが、ノルアドレナリンの放出を高めることで、そのはたらきを強めます。また、セロトニンを受け取る側のはたらきを調整することで、セロトニンのはたらきも高めます。
• 三環系抗うつ薬【クロミプラミン、イミプラミンなど】
ノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みを阻害することで、これらの量やはたらきを強めます。
• 四環系抗うつ薬【ミアンセリンなど】
ノルアドレナリンの再取り込みを阻害したり、放出を高めたりすることで、そのはたらきを強めます。
この他、2019年に発売が始まった「ボルチオキセチン」は、セロトニンの再取り込みを阻害するのに加えて、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミン、アセチルコリン、ヒスタミンという5つの神経伝達物質の放出を高める作用があります。
抗うつ薬にはさまざまな種類があり、作用の仕方や副作用にはそれぞれ特徴があります。
治療やお薬について不安なことや気になることがありましたら、ご相談ください。
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