27Nov
日々の生活の中で、ちょっとした出来事が妙に気になってしまい、頭の片隅にずっと居座る…そんな経験は誰にでもあります。普段なら受け流せるようなことでも、疲れていたり不安が強かったりするときほど、目の前の出来事が実際よりずっと大きく感じられ、心が圧倒されてしまうものです。
「部分」は大きく見える
ちょっとしたことに「圧倒される」感覚の背景には、人間が物事や状況の「部分」に囚われやすく「全体」が見えなくなりやすいという心の働きがあります。特に、過去に似たような場面で嫌な思いをした経験があると、脳は再び傷つくことを避けようと防衛態勢に入り、「嫌だ」「怖い」という感情が一層強まります。その結果、小さな出来事が連想によって大きな不安へと育つことがあります。
何度も繰り返す考え事
気になることが心の中で繰り返される状態は、心理的にも身体的にも負担になります。まず大切なのは、「今、自分はこのことに囚われているな」と気づくことです。モヤモヤした気持ちになったら意識的に「気づく」ことで、心と出来事の間に距離が生まれます。距離ができると、状況をより俯瞰しやすくなり、不安の勢いに巻き込まれにくくなります。
基本的な生活習慣
心のバランスを整えるためには、基本的な生活習慣が重要です。無理をせずしっかり食べること、身体を軽く動かすこと、大体同じ時間に寝床に入ることといった「食事」「運動」「睡眠」が大切です。感情の波を安定させたり、ネガティブなことに過敏になりすぎる状態を防いだりすることにも役立ちます。
また、信頼できる人と話すこと、読書や趣味など全く違うことに没頭して気分を切り替えることも有効です。自分を責める気持ちが湧いてきたら、その気持ちから少し距離をとってみましょう。
人間は1日の間に膨大な量の思考をしています。不安や心配事が頭から離れない時は、意識的に気分を整えるちょっとした工夫をしてみることで、大きな助けになります。一人で抱え込まずに、信頼できる人や医療機関に早めに相談することも、とても大切です。
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