16Nov
晴れ晴れとした日は気分も開放的になり、どんよりとした日は、なるべく家の中にいたくなるなど、
気によってこころの状態も変わることは、みなさんも実感されることと思います。
もう少し深くみてみると、自然界と、人間の身体の調子は密接に関係していることがわかります。
例えば、前回の記事「秋風と落ち込み」のように、日照時間が短いことでうつが出現することがあります。同じように、気圧や温度、湿度の変化によって、さまざまな不調が出てくるケースがあります。
気象病
気象の変化によって現れるさまざまな不調は、最近では「気象病」と呼ばれるようになりました。
例えば、頭痛や関節痛、だるさ、めまい、気分の落ち込みややる気の低下などがあります。
気象状況が回復すると、これらの症状がピタッとおさまることが特徴です。
例えば、気圧を例にしてみましょう。
気象病は、天気の「変化」が原因で引き起こされます。
例えば、気圧を例にしてみましょう。
低気圧だと身体が膨らむ
私たちの周りにある目に見えない空気は、常に我々の身体を押しています。この押す力のことを気圧といいます。
ふつう、指で何か物をツンと押すと、押された物は、そこがへこんだり、あるいは動いたりしますよね。
空気が私たちの身体を押しているならば、私たちの身体は、押されてどんどん小さくなっていっていくはずです。しかし、ずっと同じ形でいられるのは、反対に、私たちの身体も周りの空気を押して、ちょうど良いバランスで押し合っているからです。
気圧(周りの空気の圧力)が、いつもよりも小さくなるということは、私たちの身体を押す力がいつもより弱くなるということです。
これに対して、私たちの身体が周りの空気を押す圧力は、いつもと変わらないので、こっちの力の方が大きくなります。結果として、低気圧だと、私たちの身体はごくわずかですが、膨らむことになります。
身体が膨らむとき、耳の奥にある三半規管にも微細な変化が起こります。
(三半規管は、平衡感覚を司っています。車酔いしてしまうときは、車の動きに対して、平衡感覚が追いつかず、グラグラと頭が振り回されているように身体が感じているときです。)
低気圧で身体がわずかに膨らんで、身体のバランス感覚を担当している三半規管にも変化が起こると、脳はそれにびっくりしてしまい、うまく適応できなくなってしまいます。
特に、その変化が大きければ大きいほど、脳は対応が難しくなります。
つまり、気圧が急激に変化すると、脳をはじめとする身体全体はそれに対応しきれず、あらゆる不調が起こるということになります。
天気の急な変化で不調
みなさんもお分かりのとおり、近年は、多量の雨が降ったり、暑過ぎたり、急激で極端な天気となってきています。天気の変化による不調を訴える患者さんも、増えているように感じます。
気象病に悩む方が多い反面、気象病そのものを治す方法は、まだありません。なぜ不調になるのか、という細かいメカニズムはまだわかっていないのです。
痛みやだるさ、気分の落ち込みなど、それぞれの症状については、お薬で対処することができます。
次回に続きます。「気象病②」