11Nov
夏のあの暑さが落ち着いたと思えば、日に日に涼しさが増してきましたね。
夕方になるともうすっかり暗くなり、季節が変わっていることを感じさせます。
「奥山に 紅葉踏みわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき」
という歌が、百人一首にあります。(猿丸太夫、「古今集」)
秋の情緒は、なんとなく、物悲しいものです。
気分がふっと心細くなることもあるかもしれません。
しかし、心配の必要はありません。
むしろそれは、こころの健康度が高いことをあらわしています。
こころが健康でないと、季節の情緒を感じたり、自然に心が動かされたりすることはできないのです。
季節性うつ
毎年、秋から冬にかけて、調子が悪くなるという方がいらっしゃいます。
気分が落ち込む、悲しい、何をやるのも億劫だ、という症状が、この時期から出現し始め、冬の間続きます。冬を抜けると、再び元気になります。
これは、「季節性うつ(seasonal depression)」と呼ばれています。
秋に感じる「物悲しさ」と、なんとなく似ているように思われるかもしれませんが、季節性うつの症状は、それとは全く性質の違うものです。
治療
季節性うつへの対応のポイントは、冬(あるいは人によっては秋)になる前に、抗うつ薬を服用する、ということです。その時期になって、うつが出現するのを予防する効果があります。
仮に、冬を迎えてうつになってからお薬を服用するとなると、症状を抑えるのにより多くのお薬の量が必要となります。