10Oct
前回の記事「日記の効用 ①」では、毎日をよりポジティブな気持ちで過ごす方法の一つとして、「良いこと日記」をご紹介しました。その日に起こった良い事だけを書いていく、というものでした。
では、ネガティブな出来事やその時抱いた嫌な感情については、どう対処するのがよいでしょうか。
「怒り」を例にしてみましょう。怒りは、自分が不当な扱いを受けたときに抱く感情です。怒りを感じている状態というのは、怒りがこころに溜まったままの状態だといえます。
ネガティブな気持ちを溜めることは、苦しいだけのことであって、そこからは何も有益なものは生み出されません。これは、発散させる必要があります。
では、具体的に、どのように怒りを発散させるのが良さそうでしょうか。「怒りを発散させる」とは、「攻撃性を実行に移す」ということです。
怒りを感じているだけで、なかなかそれを発散できない、という人も多いのではないでしょうか。不思議なことに、実際に行動してみると、攻撃性は現れてくるものなのです。
具体的な手段として、私が患者さんたちに一番おすすめしているのが、キックボクシングです。そして次にサンドバックを叩きまくることです。
一度動き始めると、攻撃性が出てくるのが自分で感じられるはずです。そしてその気持ちはどんどん高まっていきます。怒りを発散し尽くすには、この攻撃性の”峠”を越えるまで叩き続けることが重要です。
破壊も治療
段ボール箱治療というのがアメリカで昔からあります。段ボールを積み重ね、それをバットで壊していく、というものです。ご想像の通り、これは本当にスッキリできます。
ただ、なかなか現実的に難しい方法ですよね。誰でも簡単にできる方法を紹介しましょう。それは、白紙を利用するものです。
まずは、憎い、罵倒したい相手について、思いのままにとにかく紙いっぱい書き詰めていきます。次に、その紙を細かく破いて捨ててしまいます。理想は、燃やしてしまうことですが、危険ですので、代わりに小さく小さく粉々にちぎってしまいましょう。一番避けなくてはいけないのは、この紙を部屋のどこかに溜めておくことです。
紙に書き殴って粉々に処理するこの方法は、こころの状態とリンクしているのに気づいたでしょうか。溜まっていたネガティブな気持ちを認識し、その後綺麗さっぱり消失させる、という過程を実際に行動で表すことができるのです。嫌な気持ちを溜めておいては良くないように、書き終えた紙も溜めることなく処理することが大切です。
前回の記事では、例えば日記を書くときのように、人が過去を振り返る時、脳は悪いことを思い出すようにできている、とお話しました。
当たり前なことのようですが、日記は破って捨てるようにはできておらず、むしろ書いたことを保持する前提でつくられていますよね。
日記にネガティブなことを書いていくことは、それが溜まっていくだけで、処理がされていない状態だといえます。これでは、良くなかった出来事と感情を思い出すだけで、全く意味がありませんよね。
良いことは思い出し、悪いことは発散させる
ネガティブな気持ちは発散させる、ということと同時に、良かったことや楽しかったことを思い出すことも忘れないでください。
悪いことは後でいくらでも振り返ることができます。悩む必要のないことを思い出しては、本当の悩みになってしまう、ともいえるでしょう。
どんなに些細な事でも構いません。ポジティブな出来事を思い出すことは、感謝の気持ちを感じられ、毎日をより幸せに過ごすことができるヒントとなるでしょう。
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