19Mar
現在、日本には、過食症の治療薬はありません。
当院では、アメリカとヨーロッパで過食症に適応をもち、
改善率が高く、広く使われている治療薬を用いて診療を行なっています。
過去15年間でおよそ2,000例を経験し、改善率は約8.5割となっています。
過食はこころの病気ではない
過食症は、こころの病気ではなく、脳の疾患である、という見方も大切です。
日本で現在行われている過食症の対応は、心理療法や、過食に伴う「うつ」に対するお薬の処方というかたちが一般的です。しかし、改善率は極めて低いという実情があります。
性格など、内面的なところを何か変えなくては治らない、あるいは、そういったところが原因で、過食症になってしまっているんだ、というのは誤りです。
よく、過食の「スイッチ」が入る、という表現をされますが、ダイエットの成功体験等がきっかけで、脳に「過食の回路」のようなものが徐々に出来上がり、ストレス等何らかの刺激を脳が感じると、本人の考えや意志とは全く別のところで、“自動的に過食が起きる”ということになるのです。
努力家
過食症の患者さんは、みなさん努力家という傾向があります。
ダイエットだけでなく、学業や仕事、家庭や人間関係など、どんなことにでも真面目に向き合うことができ、目標や理想のために、自分を追い込んで、努力することができます。
治療に対しても同様で、来院される前に、過食症について、本やインターネットで詳しくリサーチされてくる方が多くいらっしゃいます。
なんとか体重をコントロールしたい、過食もやめたい、
過食症の患者さんはみなさん強い意志があって、なんとかしようと努力されています。
しかし、「こうしなくては」と思えば思うほど、過食がひどくなってしまう、そんな経験があるのではないでしょうか。
そして、このループから抜け出すということが、とても困難に感じていらっしゃると思います。
薬で治るということは、本人の努力なしに治るということ
「今日ここへ来たからといって、過食を止めようと努力しないでね」と、過食症で初めて受診される患者さんに言うようにしています。
薬で治るということは、本人が何も意識しなくても治る、ということなのです。
ただ、薬を飲んで体内に吸収されるまでの時間には、嘔吐しないよう、朝に薬を服用してもらうようにしています。朝の空腹時は、お薬も吸収されやすいですし、日中予定がある間は、過食が起こりづらいからです。
飲むタイミングだけを気をつけてもらい、薬の効き目を正しく評価できるようにしてもらっています。
このお薬の主な効能は、
・「過食したい」という衝動を抑える
・気分の落ち込みを改善する
・外部からのストレスに打たれ強くなる
というものです。体重を減少させる効果も期待できます。
服用を始めた2、3日後から、効果を感じることができるのも良い点です。様子を見ながら、ご本人に合わせて柔軟に使っていきます。
過食が落ち着くようになると、身体の調子も変わってくるのが分かると思います。すると、思考も変化してきます。
薬の量も減って、「過食しそうだな」という予兆を感じた時にだけ飲む、という使い方ができるようになるケースも多いです。
また、パートナーができたり、妊娠したりするタイミングで、過食から離れるという傾向もあります。
こちらのお薬を使った治療は、どうしても自費診療となってしまいますが、1ヶ月でだいたい2万円くらいとなっています。
ぜひ一度ご来院ください。