4Apr
今回は、依存の治療についてお話ししていきたいと思います。
薬
日本では未承認で、米国で依存症の治療薬として使われているものに、ナルトレキソンというお薬があります。
これは、どういう経緯で依存症を良くするのかというと、報酬系において幸福感を与えるβ-エンドルフィンの受容体にはたらきかけることで、同じ刺激を受けても「快」を感じにくくさせています。
β-エンドルフィンそのものには、幸福感を生じさせる作用があるわけではなく、β-エンドルフィン専用の受容体がそれをキャッチしたときに、幸福感が生まれます。β-エンドルフィン専用の受容体は3種類あるといわれています。ナルトレキソンというお薬は、この3種類ある受容体のうち、ある一つの受容体を遮断させます。すると、2種類の受容体だけで活動することになりますから、受け取られるβ-エンドルフィンの量もグンと減ることになります。
こうして、幸福感を生じさせるβ-エンドルフィンの受け取られる量を減らして、同じ刺激を受けたとしても、「快」を感じにくくさせています。
ちなみに、仮に、β-エンドルフィンの受容体を3種類とも遮断したとしましょう。すると、どうなるでしょうか。強いうつ状態になってしまうのです。受容体を全てシャットアウトしてしまうと、ふつうの喜びも感じなくなってしまいます。
次回のコラムでは、日本で使われている、アルコール依存症のお薬についてお話ししていきます。